ナンセンスの漫才「あれだよあれ」の台本書き起こし

お笑いコンビ:ナンセンス
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属
1964年ナンセンストリオ結成
1979年ナンセンス改名
原田健二
岸野猛

ナンセンスの漫才「あれだよあれ」
お笑い演芸館より

ナンセンス「あれだよあれ」

セリフ左:原田健二
セリフ右:岸野猛

あらいやいやいやいやいやいやいや。
もういいから。
いやーだけどさすごいね。
オリンピック以来の拍手だね。
芸人にとっちゃこんなうれしい事はないね。
ねえ。
元気がある。
年にしちゃ拍手が…活気があったな。
そうだよ。うれしいよ芸人にとっちゃ。
ねえこんな元気な拍手で迎えてくれて。
おかげさんでね僕らも元気ですよ。
はい。
いやいやいやいや…。
いやいいのよ。ねえ。
こう見えてもね2人とももう50過ぎてますから。
おい。
なんかこんな事してっけど50過ぎた?
そうです。
せがれが?
そうです。馬鹿野郎!
何よ。
せがれが50過ぎたらどうなんだ俺はお前。
俺をね年寄りにして自分を若く見せたいんだよ。
ええー?
冗談じゃないよホントに。
かなり上なんだから。
ありゃ?
なんたってうちの母親と同級生だもん。
おい。なあ。
ホントじゃないか。
なんちゅう事言ってんだお前は。
ホントだよねえ。うちの母親とこちらが若い頃一度だけ過ちを犯した時にできた子供が僕なんだから。
何?ウソばっかり言ってんじゃねえよお前は。
ホントじゃないかよ。
いつまでもよ。あの…あれだよなおい。
ちょっと待て。
「あれだよ」じゃ漫才にならねえじゃねえか。
なんだよ。なな…えっ?
「えっ?」じゃねえよ。
何を言ってんだろうねこのハゲ親父が。
うるせえな。
何?
俺の事ハゲおじさん?冗談じゃない。
何?
自分はねかなりフサフサ。
俺より3倍ぐらいあるけどだまされちゃ駄目だよ芸人に。
なんで?
カツラだよカツラ。
おい。
わかんない?
前の方はね植えてんだよ。
何?
春先に植えて秋に刈り取るんだ。
馬鹿野郎。
何?俺…このこの…あの…あれだよなおい。
えっ?
「あれだよ」じゃ前に進まねえじゃないかよ。
なんだよ!
「なんだよ」じゃねえよ。
だから拍手がうれしいなって言ってんだよ。
なんで拍手がうれしいんだよ?
えっ?
だけど拍手よりうれしいものが芸人あるんだよ。
なんだよ?
なんだと思う?
「待ってました!」って声かけられるのが一番うれしいんだ。
いやこれホントだよみんな。
なあ。
慣れてる人はきっかけがいい。
出てきた途端に「待ってました!」って。
これでね芸人馬鹿だからやっちゃうんだよ一生懸命。
なあ。
だけど慣れてない人はあんまり言わない方がいいよ。
なんで?
言うチャンスを逃しちゃって終わった時に「待ってました」って。
これは駄目。
あれ聞くと家へ帰りたくなっちゃうねホントにな。
暗くなっちゃうよ。
電気の球潰れたみたいだよ。
ホントだよね。
だけどね…。
なんだよ?
僕はねかねがね君の事をねうらやましいなと思ってんだよ。
なんでだよ?
それはそうじゃねえかお前。
俺は東京生まれで東京育ち。
ありゃ?
雰囲気がそうでしょ?
何を言ってんだ。
君はねあんないい古里があるから大変僕はねうらやましいと思ってる。
なんでだよ?
そうじゃないか。
なな…おい。
笑うんじゃねえよ今考えてるとこだ。
考えてんだよ。
人が失敗すると笑うんだよ。
ああー。
ろくなもんじゃないよ。
馬鹿。
何を…よく見てみろ。
奇麗な人ばっかり集まってくれたんじゃねえか。
奇麗な人?だいぶ目が衰えてるよ。
なんちゅう事言ってんだお前大事なお客さんつかまえて。
だから話を前に進めてるんじゃねえか。
お客さんあっての我々だぞ。
そんな事はわかっとるよ。
何言ってんだよ。ええ?
ほらあの…ねえ。
「ねえ」じゃねえ。
なんかまとまった気の利いた事言おうと思うからそうなっちゃうんだよ。
なんだよ。
漫才なんかそんな商売じゃねえじゃねえかお前。
なんだい。
時間だけやって頭下げたらおしまいなんだよ。
なんちゅう事言ってんだお前は。
そうじゃねえか。
お客さんはななんのために来てるかお前知ってんのか?
暇だから来てんじゃねえか。
そうじゃねえよ。
忙しかったらこんな前でこんな事やってられるかよ。
何を言ってんだ。お客さんはな…。
なんだよ?
あの…あれだよなおい。
はっきり言えよ。
えっ?
お客さんはな…。
なんだよ?
あの…あれだよ。
俺はわかってるけど向こうはわからない。
何を?
お客さんはな…。
はいよ。
昔はなお客様は神様ですといわれてる方ばっかりなんだぞ馬鹿野郎。
誰だ?そんな馬鹿な事言ってんのは。
それは現実を見てないヤツが言ってんだ。
なんで?
何がお客様は神様だ。
なんだ?
よく見てみろ。
ほとんど仏様に近いじゃねえか。

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