ピン芸人:マツモトクラブ
SMA NEET Project所属
活動時期:2011年~
本名:松本 洋平(まつもと ようへい)
R-1ぐらんぷり2015第2位
マツモトクラブのコント「イクヨとヨウヘイ」
お笑い演芸館より
SMA NEET Project所属
活動時期:2011年~
本名:松本 洋平(まつもと ようへい)
R-1ぐらんぷり2015第2位
マツモトクラブのコント「イクヨとヨウヘイ」
お笑い演芸館より
マツモトクラブ「イクヨとヨウヘイ」
セリフ左:マツモトクラブ
セリフ右:イクヨ
セリフ中央:警察官
《その日俺は幼なじみのイクヨに近所の公園に呼び出された》
《呼び出された理由はなんとなくわかる》
《俺はイクヨに告白される》
《今日中にどうこうという事はないとは思うがなんとなくいつもより念入りに体を洗ってから家を出た》
《公園に着いた俺は奥のベンチに座るイクヨをすぐに見つけた》
《俺を見たイクヨはすぐに立ち上がり小走りでこちらへやってくる》
《すでに照れくさそうな顔をしているイクヨの胸が揺れている》
《俺はイクヨの告白を受け入れるつもりだ》
《公園の中央の今は水の出ていない噴水の前で俺たちは向かい合った》
《「ごめん急に呼び出して」とよくありそうなセリフをイクヨが言った》
なんだよ話ってよ。
《面倒くさそうにそう返した俺はイクヨの告白を受け入れるつもりだ》
《なかなか本題に入らず「あのねあのね」ともじもじしているイクヨに対し『I.W.G.P.』の頃の長瀬智也に憧れている俺は言った》
面倒くせえよ。
《俺はイクヨの告白を受け入れるつもりだ》
《しばらく沈黙が続いたあとその静寂をスマートに切り抜けるように俺はあえて軽めのトーンで言った》
とりあえず飯でも行かね?
《イクヨは無言で首を横に振ったあと「この場所で伝えたいの」と言った》
《中学生の頃俺とイクヨは同じ塾に通っていてよく塾の帰りにこの噴水の前でどうでもいいような話をした》
あの頃は噴水の水も出てたっけな。
《俺は太陽を見上げまぶしそうな目をした》
《イクヨが俺のまぶしそうな目を見つめているのがわかりしばらくまぶしそうな目をし続けた》
あの頃は水も出てたっけな。
《イクヨがゆっくりと本題に入ってきた》
《「ヨウヘイってさ今彼女いるの?」とイクヨが言った》
いねえけどそれがなんか関係あんのかよ。
《40過ぎのおじさんがこういう態度をするとただのうざい人になってしまう》
《それでもイクヨは続けた》
あのさ来週の土曜日って何してる?
ああ?パチンコでもやってんじゃねえか。
もしよかったらさ一緒にディズニーランド行かない?
なんで俺がそんな所行かなきゃいけねえんだよ。
《今まで経験した事のないドラマのような状況に俺は酔っていたのかもしれない》
《なぜだか俺は草原で寝転んでいるようなポーズで空を見上げた》
《イクヨは急に覚悟を決めたような表情になり静かにこう言った》
私ねずっと好きだったのヨウヘイの事。
ヨウヘイと一緒にディズニーランド行くの夢だったの。
《俺は後頭部の後ろで握り合わせていた手をゆっくりとほどき空を見上げたままイクヨにこう言った》
それはつまり告白ってやつか?
《俺はゆっくりと目を下ろしイクヨの目を見つめた》
《イクヨは一瞬下を向き目をそらしたあと真っすぐな瞳で俺を見つめ静かにうなずいた》
《俺は両手を広げイクヨの全てを受け入れた》
《俺たちは見つめ合ったままただお互いの名前を呼び合った》
ヨウヘイ。
イクヨ。
君こんな夜中に何やってんの?
近所の方から通報入りましてね公園の噴水の前に怪しい人がいるって。何やってたんですか?
練習を…。
練習?なんの練習?
まさかに備えての練習というかまあ練習を…。
もう帰りますんで大丈夫です。
ちょっと話聞かせてもらってもいいですか?
なんだよ話ってよ。
いや一応通報入っちゃってるんで。
お話ちょっと聞かせてもらわないといけないんで。
面倒くせえよ。
すいませんね。ちょっとお時間頂きます。
住所はこの辺?どこ見てんの?まぶしそうな目して。夜ですよ。
とりあえず飯でも行かね?
なんで?
質問にねちゃんと答えて頂かないとね。
家はこの辺?
この…この辺です。
この辺で。何?ここで何してたのかな?
水をくみに来たんで…。
水くみに?
何?家は何?水出ないの?水出ないの?
あの頃は水も出てたっけな。
だからまぶしそうな目やめて夜だから。
水出ないから公園の水道で水くもうとしてたの?
君ご家族はいるの?一人暮らし?ご家族は?
いねえけどそれがなんか関係あんのかよ。
そんなちっちゃいペットボトルで水足りるのかなと思ったから。君何?
お仕事は?お仕事何されてる方?
パチンコでもやってんじゃねえか?
パチンコ?パチンコをお仕事としてやってらっしゃる方でいいのかな?
あのねここ住宅街の中にある公園で深夜だし近所迷惑になっちゃうんでいったん交番の方でお話聞かせてください。
なんで俺がそんな所行かなきゃいけねえんだよ。
《今まで経験した事のないドラマのような状況に俺は焦っていたのかもしれない》
《なぜだか俺は自ら持ち物検査がしやすい体勢を取っていた》
はいそのままそのまま。手後ろのまま。
変なもの持ってないね?はいはいえーっとはいはい。
はいじゃあ後ろ向いて。はいはい。はい大丈夫だね。
免許証か何か身分証明できるものありますか?
《俺は後頭部の後ろで握り合わせていた手をゆっくりとほどき空を見上げたまま警官に言った》
それはつまり職質ってやつか?
《俺はゆっくりと目を下ろし警官の目を見つめた》
《警官は真っすぐな瞳で俺を見つめ静かにうなずいた》
《俺は両手を広げ警官の全てを受け入れた》
《警官は俺に交番に来るよう促した》
じゃあいったん交番行きましょう。
行くよ。
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